学びのコラム〜温泉〜 鳴子温泉のおはなし、その2
投稿日:2025.07.04
鳴子温泉でガイドとして暮らしている、齋藤理です。このコラムでは、私が暮らしの中で感じる「鳴子温泉」のおもしろさを、皆さんにお伝えしていきます。
鳴子温泉郷には川渡、東鳴子、鳴子、中山平、鬼首の5つの温泉地があり、「単純温泉」、「塩化物泉」、「炭酸水素塩泉」、「硫酸塩泉」、「含鉄泉」、「酸性泉」、「硫黄泉」の7つの泉質が楽しめます。


今回は鳴子温泉のお話。鳴子温泉は、先に述べた7つの泉質すべてが集まる、まさに温泉百貨店。緑、青、白、黒、透明、褐色。自家源泉の宿も多く、施設ごと様々なお湯を楽しむことができます。
そんな鳴子温泉の源泉の一部は130℃もの高温で、お湯ではなく蒸気として噴出しています。高温の蒸気を、湧水と合わせることで約80℃の温泉水を造成しています。この仕組みは「蒸気造成温泉」と呼ばれ、箱根温泉も同様の方法で、扱いやすい温度の温泉を得ています。
これだけの高温の温泉が得られるのは、鳴子温泉の立地が関係しています。実は、温泉街の裏山は活火山。「鳴子火山」と呼ばれ、東北の18座の活火山の一つとして気象庁が観測を行っています。最後に活動が記録されたのは西暦837年。以来、主だった活動はなく現在まで温泉をはじめとした多くの恵みを私たちに与えてくれています。


お話しする人

齋藤 理
ガイド/SomeSpice合同会社 代表/鳴子まちづくり会社 取締役/鳴子温泉もりたびの会 理事/NPO法人日本エコツーリズムセンター 理事など
ガイドとしてTV、ラジオ、雑誌などで鳴子の魅力を発信。地域の地形や文化を深掘りするツアーを行う。
<保有資格など>
温泉ソムリエマスター/WEA Certified Outdoor Leader(野外指導者)/LNT level2インストラクター(環境倫理)/WMTC WFR(野外救急法)/GSTC Professional Certificate in Sustainable Tourism(持続可能な観光)
この記事の担当者から
年を重ねるたびに身近になってきた鳴子温泉。その泉質の数が今回のコラムにもあるようにまさに「温泉百貨店」と言える豊富さであること、そしてたまに熱くて入れないほどの鳴子の温泉の熱の源が「鳴子火山」にあること、今回もつくづく為になります。今度友人や知人を鳴子にお連れする際はさっそくこのうんちくを語ってみたいと思います。
齋藤さんの鳴子温泉のお話のおかげで、私も遠くの温泉地に行ったときに地元の鳴子温泉と比べる楽しさが増えたのと、なんとなく小さい頃から当たり前に思っていた「温泉百貨店」状態の地元の贅沢さに気づき、珈琲の様にこちらのコンディションにあわせて「お湯・泉質」を選べる楽しさに大崎暮らしへの愛着が増すのでした。
代表取締役 菅原 順一
このコラムは、弊社発行の「工務店ミュージアム 学びのコラム(2025年6月号)」に掲載したものです。